「農業への転職が人気みたいだけど、未経験でも大丈夫って本当?」
「農業ってキツイって本当?」
「農業へ転職した人の実際の声が聞きたい」
今、異業種から農業への転職が注目を集めています。
2018年には5万人以上の人が新規で農業に従事しているというデータもあり、その人気は衰えることはありません。
読者の中には農業に興味を持ちつつも、仕事内容があまりピンと来ないという方もいるかもしれません。
この記事では、過度のストレスから10年勤めた会社を退職し、未経験で農業へ転職したTさんの体験談をブログ形式で紹介しています。
この記事を読むことで、農業の求人からは見えない実際の農業の仕事やメリット・デメリットが学べるので、農業に就くこと自体が自分に合っているかどうかを見極められるようになります。
現在、転職先として農業を考えている方や、人間関係や日々の仕事から離れてリフレッシュのために農業についてみたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
過度のストレスで十円ハゲ!未経験でストレスフリーな農業へ転職・Tさんの体験談
私は現在、農園で働く32歳で、主にキャベツの栽培・収穫をメインで行っています。
まず、未経験で農業への転職は、ある程度健康な人なら特別なスキルもいらないのでぜひチャレンジしてほしいですね。
かくいう私も前職では、不動産業界でフランチャイズ店の店長職を6年やっており、どちらかというと最新のものが好きで食事も外食が多く、農業とは全くかけ離れた生活をしていました。
今は本当に農業に転職して良かったと思っています。
日々がストレスの日々
前職の不動産業界は、従業員数15人ほどの市内に2店舗経営する小さな会社でした。
そのうちの1店舗の店長である私は、店舗運営に関わる仕事から入居者のクレーム対応・リフォームの提案・発注、経理や集金業務などを行っており、若手に売上管理とおおまかな社員教育をお願いしていました。
不動産業界は入れ替わりが激しく、採用時も未経験者が多いので、私が店長就任時には頼れる人がおらず、一人で頑張るしかありませんでした。
引っ越しシーズンは、朝から電話がなりっぱなしなので自分の業務が進まず、朝9時前から夜22時までの残業は当たり前でしたね。
そのうち、食事をとる時間も惜しいくらい忙しくなってきたので、体重は半年で8キロ減、ついには10円ハゲができてしまいました。
そして、こんな日々を続けていたある日の朝、急に体が動かなくなり起きられない、ということが起こりました。
20歳で入社して10年間、一度も遅刻も無断欠勤もしたことがなかった私でしたが、この日はもう自分から会社に電話をかけようという気にもなりませんでした。
有休消化中に農業に出会う
このことがあってから、職場から強制的に有休を取らされ、家で何もせず人生について考える時間が増えてきました。
仕事自体は嫌いじゃないのですが、度重なるモンスタークレーマーの対応や社員の退職の連続に少しうんざりしていました。
少しの間、人との関わりを避けたいと思うようになったので、いったん退職して、近所の工場の生産ラインや農業のアルバイトでもしようかと考えました。
求人を見ていた時に、企業情報の中で、未経験から農業へ転職した社員の方の紹介記事を見つけました。
北海道の自然豊かな環境で家畜と触れ合って伸び伸びと働く姿に、自分もこういった環境で自分をリセットしたいと思い、挑戦してみることにしました。
農業就職のメリット
農業の求人は様々で、アルバイトや数か月の期間限定で働ける社員など働き方は様々あります。
働き方以外にも、様々なメリットも多かったので、すぐに応募、採用が決まりました。
未経験可、年齢不問
農業は野菜やお米の収穫のイメージがありますが、酪農など家畜の世話などその種類は様々あります。
ほとんどの場合が経験や年齢不問なので自分の興味に合わせて仕事が探せて楽しいですよ。
実際働いてみて思ったのですが、様々な年齢層・職歴の人が集まっているので、打ち解けるまではコミュニケーションに戸惑うところもありました。
しかし、日々の仕事が体力仕事だということと、目の前の仕事に集中することだったので、他人のことを考える暇もありませんでした。
日にちが経つにつれ、自然に気の合う人も現れてきて、ほどほどに楽しくやれるようになりましたね。
黙々と仕事ができる
仕事内容によりますが、基本的にはやる仕事は決まっていて、ほぼ個人プレーになりますので黙々と仕事ができます。
会社員の時のように必要以上に気を遣うことがなかったので気が楽でした。
体力さえあれば乗り切れる
農業では、体力があってなんぼなので体力があれば筋トレ感覚で仕事できると思います。
私の場合は、かなり痩せていたので農家の人からたくさん食べるよう強制されましたが。
睡眠も栄養もたっぷりとれるので、気づくと健康体になっていましたね。
健康に良い
農業の良さはなんといっても規則正しい生活が必然的に身につくので、健康に良い生活が送れることです。
例えば、スケジュールは以下のような感じです。
・朝4時~10時前後(仕事)
・自由時間・ランチ
・昼3時~夕方6時前後(仕事)
・夜ごはん・自由時間
・夜9時(就寝)
生活にかなりメリハリがあり、夜型の私でも1週間もすれば慣れてしまいました。
宿泊費が無料または格安
ほとんどの場合が住み込みで働くことになるのでその宿泊費は無料または格安になったり、食事がついてきたりするので、仕事以外の時間は自分の時間が持てます。
最近ではWi-Fi完備のところもあるので、ネット環境が必須の人は事前に調べておくと良いですね。
また、北海道のような離れたエリアだと、数か月の契約満了時に飛行機代を出してもらえるところもあるので、旅行感覚で楽しそうだと思いましたね。
農業就職のデメリット
私のように、人との関わりをリセットして自然の中で暮らすことを目的に始める人もいますし、メンタル面での問題を解決するために治療の一環のような形で来る人もいます。
しかし必ずしも問題がクリアするわけではありません。
仕事内容は、シーズンや天候による影響も大きく受けるので想像以上に肉体的にハードになることもあります。
また、知らない土地で知らない人たちと過ごすことに孤独を覚える人もいます。
農業就職に過度な期待を持つのは危険ですので、事前に下調べすることが成功の秘訣です。
人とのコミュニケーションは多少ある
当たり前ですが、黙々とやる作業の他に、チームで仕事したり人とコミュニケーションを取りながら進める仕事もあります。
また、私のように人間関係に疲れてこの仕事を選んだ人も多いので、時にぶっきらぼうな対応をされる事もあるかもしれません。
しかし、基本的にはチームリーダーがいるので、最低限のコミュニケーションでやっていける仕事なので楽です。
逆に出会いがない
毎日がほとんど同じ作業の繰り返しで、新しく出会う人はたまに営業に来る保険屋のおばさんや農協の担当者くらいで新鮮味はないです。
通常のオフィスの仕事であれば、それなりに出会いはありますが、農業の仕事は新人の入社以外はほぼ新しい人間関係はありません。
時期によりかなりの肉体労働になることもある
繁忙期は長時間労働になることがあります。
私の場合、真夏の野菜のトラックへの積み込み作業はかなりハードでした。
早朝の作業とはいえ、毎日続くとさすがにヘトヘトでしたね。
とにかく素早く、量をこなさないといけないので、辛いとか考える暇もなく機械的にやるだけなので、対人ストレスはありませんでしたが。
働く場所によってはとても不便な場所なこともある
就業場所によっては、車で30分走らないとコンビニがないなんてこともあります。
農作業以外に自由時間があっても周囲に何もないと、退屈してしまうかもしれませんので、車を持っていない人は周囲の環境もチェックした方がいいですね。
私は車を持たないで、バスが数時間に1本しかない田舎の寮に住み込みで働いていたので、初めはどうなることかと思いました。
結局、休みの日は職場の人が車で町まで送ってくれることもあったので、意外になんとかなるものだと思いましたね。
結果的に、農業は自分には合っていた
農業に転職してあっという間に2年が経ちました。
初めは、人との関わりを避けたくて始めた仕事でしたが、今では逆に人と接する機会が少ない分、前よりも人との関係を大切にするようになりましたね。
話す言葉も、たとえば相手をねぎらう言葉や思いやる言葉が自然に出てくるようになりました。
前職では、常に周囲に気を配っていなければなりませんでしたし、目標達成のために自分と同じペースで働けない従業員に厳しい言葉をかけてしまったりしました。
しかし、ここでは、自分の仕事だけに集中して取り組めること、今日すべきことの目的がしっかりしているので集中して仕事ができるので助かっています。
就職当初は、3ヶ月の短期で、お金を稼いで心が健康になったらまた不動産の仕事に戻るつもりでいました。
しかし、結果的に農作業もそうですが、日本の農家が抱える問題などを模索すると、もっと良いビジネスができるのではないかと、仕事への意欲も湧いてきました。
未経験でストレスフリーな農業へ転職・Tさんの体験談・まとめ
以上、Tさんの体験談でした。
十円ハゲを作ってでも責任感で仕事を続けていたTさんですが、農業という全く畑違いの業種に挑戦されて今は生き生きと働いている姿が印象的です。
そんなTさんからアドバイスをもらいました。
「今、日本の農業は若い人を求めています。
転職先というと今の自分の仕事に似た仕事やオフィスで働くことをイメージするかもしれませんが、農業も面白いですよ。
考え方によってはビジネスチャンスも生まれると思います。
また都会の喧騒とは離れられるうえに、ひとつのことをコツコツとやる作業は瞑想のようで、メンタルの安定にも役立つと思っています。
ひとつのことに熱中して仕事をすると効率的ですし、余計な人間関係に悩まされることもありません。
農業フェアなどで一度話を聞いてみると良いですよ。
自分が見えなかった世界が広がっていくのでぜひ短期間からでも挑戦してみてほしいですね。」