「仕事が辛くて辞めたいけど、逃げの転職はうまくいかない?」
「転職回数が多いと就職に不利になるから、我慢して続けるべき?」
この記事を読んでいる人の中には、今の仕事が辛いから逃げたい、転職したいけど何度も転職するのはまずいかも、と思いながら鬱々とした日々を過ごしている人もいるかもしれません。
転職回数が多いと『根気がない』『嫌なことからすぐ逃げる』『人生に対する計画性がない』と思われがちで、雇ってもらえないことが多々あります。ただ、これは全ての人に当てはまるのでしょうか。
この記事では、仕事が長続きしなかったAさんが、転職経験3回で収入アップに成功した体験談を紹介しています。この体験談を読むことで、転職が必ずしもマイナスになるわけではないということを知ってもらえるので、前向きに転職活動が勧められるようになります。
転職を考えているけど不安で動けない人は、この失敗談と成功体験を参考にしてみてください。
【就職】勤続年数1年・会社に行くのが辛い日々
Aさんが新卒で初めて入社したのは、都会のオフィスにある従業員20人ほどのリフォーム会社の営業職。入社後いくつかの理由で会社に行くのが辛いと感じるようになり、1年で転職を決めたのでした。
【転職理由①】残業の多さ
入社してから、学ぶことの多さは覚悟していたものの、その業務の量は想像以上。週15時間の残業はあったものの、週末は資格の勉強など自己のスキルアップを続けていたといいます。
また、3ヶ月に一度回ってくる休日の電話当番では、自社のリフォーム工事に関するクレーム対応に追われました。休みなのに休みでない感覚と、自分の会社がいい加減な仕事をしているという「会社への不信感」が募っていきます。
【転職理由②】職場環境
元々、就職活動に乗り気じゃなかったAさんは、たまたま求人広告で見つけた「学歴不要・未経験歓迎」を謳う、フレンドリーな雰囲気のこの会社に決めました。
実際入社すると、社内は怒鳴り声や罵声が響き渡り、ビジネスらしくない振る舞いが多いのが目につきました。また、社員が顧客から回収したお金を使いこんでしまったり、お酒の席で女性にあからさまなセクハラをしても笑って見過ごされたりと、モラルの無さに衝撃を受けたとAさんは言います。
社内にはいくつかカメラが設置されており、常に監視されている感じもストレスだったそうです。
面接落ちまくる日々
退職を告げると、会社から「何が気に入らないのか」「今辞めるのは逃げだ」と責められ続け、先輩社員からの風当たりも強くなってきたため、有休もとらず逃げるようにこの会社を辞めたAさん。
その後、いくつか面接を受けますが毎回同じところでつまづいて不採用となります。
・面接でのマイナスポイント① 在職期間が短い
Aさんなりに努力を続けた1年でしたが、採用する側は数字としか見ていません。「たった1年で辞めたの?」と聞かれるたび、会社の悪口をいうのもマイナスに響くだろうと考え、Aさんは上手に答えられませんでした。
今、社会ではブラック企業の存在は認知されているため、逆に「ブラック企業に勤めながらも自分はこんなことを1年も頑張った」とアピールすれば良かったとAさんは言います。
・面接でのマイナスポイント② 前職についているときに就活していない
Aさんからすると、ブラック企業での仕事をこなしながら、就職活動する力もメンタルも残っておらず、有休も取りにくい環境だったのは事実です。
しかし、企業からするときちんと理由が説明できないと「計画性がない」「突然仕事を辞めた人」という印象を持たれてしまいます。
Aさんはある時から、開き直って自分の置かれた状況を正直に話し、いったん会社を辞めて気持ちをリフレッシュさせたかった、と発言するようになってから面接での印象は明らかに良くなったと語っています。
・面接でのマイナスポイント③ この人を雇いたい、と思えるアピールがない
ブラック企業を退職したての頃は、自己肯定感が下がりがちです。自分の良さを見失っていて、前向きな発言や自己アピールが一切できなかったとAさんは言います。
「この会社に就職したらこんなことで自分は活躍できる」と言えなければ、企業はこの人を雇いたいとは思いません。自分が応募する業界や会社にとってプラスになるようなアピールを考えておくことが大切だとアドバイスをもらいました。
【転職1回目】勤続年数1年・未経験可能の事務員として働く
その後、自分がブラック企業で1年勤めあげた経験を前向きにとらえられるようになったAさんは2社ほど内定をもらい、未経験可能の事務員として働くようになります。
職場環境や残業など特にこれといって不満はないはずのAさんでしたが、ここでもまた転職を考えさせることが起きます。
【転職理由】職種が合わなかった
Aさんは、ひとつのことをじっとやるよりも、様々なことに取り組んだり外を歩き回って人と話をする方が得意なタイプ。事務職についたAさんは、いつも落ち着かずソワソワ、とにかくミスが多くて皆に迷惑をかけてばかりだったそうです。
ミスを減らすため、職場の人から仕事術を学んだり様々な工夫や努力していたのですが、一向に改善されず、Aさんはやがて社内の人たちを困らせる大きなミスをします。
その後、高校を卒業したばかりの事務員がAさんの仕事を担当するようになりました。彼女がミスもなく楽しそうに仕事する姿を見て、Aさんは自分には事務職が究極的に合わないのだと考え、転職を決めたのでした。
資格取得で未経験の業界へ
当時、Aさんは仕事帰りにスポーツジムへ通っていました。スポーツジムのトレーナーやトレーニング仲間と意気投合して、トレーニングの方法や体の構造の勉強や様々なイベントへ出かけるなど充実した週末を送っていました。
知人を通してトレーニングの資格取得を支援している団体を知り、トレーニングに関する資格を取得し、スポーツ業界への転職を決めたのでした。
【転職2回目】勤続年数4年・仕事が楽しい
スポーツインストラクターの仕事への転職は、アルバイト入社からの契約社員登用、ということもあり、転職回数など全く問題視されることなく即採用が決まりました。
ただ、業界に求められる明るさは必須でしたので、とにかく前向きに自分の経歴を話したことで好印象を持ってもらえた感触があったと言います。
とにかく仕事が楽しくて、この仕事を続けたい!と思った初めての経験でした。4年という日々があっという間に過ぎましたが、この頃、意外にもAさんはまたも転職を考える機会がやってきたのでした。
【転職理由】向上心が芽生えた
事務員の頃は、「ミスをしないか」「自分のせいで人に迷惑をかけていないか」「人に悪く思われていないか」を気にする毎日でしたが、今の仕事についてからは日々が充実していたと言います。
実際に、Aさんからトレーニング指導を受けたいというお客さんが増え、いつも予約でいっぱいになりました。
就職したてのリフォーム会社では、義務感から資格取得の勉強していて苦しいだけでしたが、この時は「このスキルを手に入れて仕事に活かしたい!」「もっと稼ぎたい」と前向きに行動できるようになっていたのです。
【転職3回目】同じ業界へ転職で収入アップ
スポーツ業界で前向きな心を取り戻したAさんは、個人経営のパーソナルトレーニングジムへ転職しました。
元々努力家でその分野に関する勉強は怠らなかったので、新しい職場でもすぐに顧客がつきました。
前の職場では、パーソナルトレーニングを受け持つとトレーニング費用の半分がAさんの収入として入っていましたが、新しい会社では8割もらえるようになりました。
転職回数多くても転職成功・Aさんからのアドバイス
Aさんは1回目の転職では、職場環境から逃れたくて逃げるように辞めていきました。2回目の就職先では自分の持ち前の能力を生かせず、努力も虚しく、周囲に認められるどころか苦しい思いをするばかりでした。
しかし、Aさんは意外にも余暇で楽しんでいたスポーツでその道を自分で切り開いていくことになりました。
最後にAさんからこんなアドバイスをもらいました。
「2つ目の職場を辞めようと考えた時、自分はいつまでこんな人生を繰り返すのだろうか、転職回数が多いとどこも雇ってくれないし、人生終わりだと思いました。
たまたま趣味が自分を救ってくれましたが、人には必ずぴったりの仕事があるのだと確信しています。
仕事が辛いと感じたら、まずはうまくいかないこと全てを「自分の努力不足」だと思い込んだり、逆に周囲のせいだと思わないことが大切です。
客観的にみて、職場内での自分の置かれた状況を一度冷静になって考え、それから転職を決めましょう。自分が快適に過ごせる環境がどんなものか、好きなことは何なのかを考え、転職自体を前向きにとらえて活動することが大切だと思います。」
ぜひ、転職を考えている方はAさんの体験談を参考にしてみてください。